かごしまんまだより

平成25年5月10日(金) かごしまんまだより 【水俣病の歴史から福島原発事故を考える】

この度はご注文いただき、ありがとうございます。
商品は無事に届きましたでしょうか。

GWはいかがお過ごしでしたか?

私は5月1日に水俣病資料館に立ち寄る機会がありました。
その日はちょうど慰霊祭の日で、スローガンの書かれた横断幕を掲げた人々もたくさん立っていました。



水俣病はチッソという企業の工場が水銀を含んだ排水を1932年から1968年まで流し続けたことによる公害で、
今年になっても認定問題等のニュースが報道されている現在進行形の問題です。

まず1954年に「水俣の猫が皆、気が狂ったようになって死んでしまいネズミが激増した。猫をたくさん飼っても再びどんどん死んでしまい、とうとう市民が役所に泣きついてきた」というニュースが熊本新聞に初めて報道されます。
その前から水俣湾では魚がたくさん死に、海辺の鳥たちは飛べなくなってしまう現象が出始めていました。

やがて人間にも症状が出始め、1956年には原因不明の病として水俣病が公式確認されます。

当初から魚介類の接種が原因であることがわかっていたにもかかわらず、
国や県は食品衛生法を用いて水俣湾産魚介類の摂食禁止することを適用しませんでした。
また、水質保全法と工場排水規制法による規制権限行使もしませんでした。

チッソは少なくとも1959年には社内実験で自社の工場排水が汚染源と知っていましたが、
化学業界の協力も得て東工大教授のアミン中毒説や日本化学工業会理事の爆薬説を展開させました。
そして工場排水路にサイクレーターを設置し、その完工式では社長がサイクレーターを通した排水をコップに入れて飲み、安全な排水を世間へ強烈に演出しました。
サイクレーターはもともと水銀を除去する目的の装置ではありませんでした。


実際には水面下で被害がどんどん拡がっていきました。

1960年には毛髪水銀濃度の測定調査も始められました。

しかしサイクレーターの設置と「将来、原因が工場排水と決定しても新たな補償要求は一切しない」という非道な契約書を交わした上でのチッソから患者への見舞金が支払われたことで「水俣病は終わった」ムードになり、毛髪調査も立ち消えました。

世間では水俣病は忘れ去られましたが、被害者は病の為に手足が震えて涎を流し、寝たきりになり仕事もお金も失い、少なすぎる見舞金に泣き寝入りするしかありませんでした。


そして患者は亡くなっていきました。



そんな中、新潟でも水俣病が発生することで、支援と団結の輪が新潟や水俣周辺からわき上がり、
工場排水中の水銀が原因だということも証明され始め、今も続く長い訴訟や補償問題が始まっていきます。


1968年、ようやく国が「水俣病はチッソの工場排水に含まれたメチル水銀化合物によって生じたものと認められる」という政府見解を発表しました。その年まで実に36年もの間、チッソは有害な排水を流し続けました。


国とチッソは、被害者や遺族には現在までもめ続けるような金額しか補償しませんでした。
しかし水俣湾を14年の期間と485億円の費用をかけて東京ドーム13.5個分の広い埋め立て地にし、1990年に「エコパーク水俣」という公園を完成させました。

そしてチッソは分社化したり公的支援を受けたりして現在も名前を変えて残っています。


1997年には熊本県は「水俣湾の魚介類は安全である」と宣言します。


しかし水俣病発生から40年近くたった現在、当時漁師だった多くの人々は職を変え、夏みかんを栽培したりして新たな水俣ブランドを作り上げて新たな人生を歩んでいます。

そして今も病に苦しむ人々がいます。



・・・水俣病の歴史は福島原発事故のそれと多く重なるような気がしてなりません。



311のあの忌まわしい震災からまだ2年余り。
TVや新聞ではもう原発事故は収束したかのような印象です。

しかし、今も厚生労働省などの国のHPや各都道府県のHPを見るとわかりづらいところに出荷制限の食品や原発事故関連の重要なことが記載されています。
福島から遠く離れた千葉県などでもタケノコや椎茸の出荷制限が続きます。


歴史が教える多くの公害事件の被害が明るみに出るのは数年後。
それまでは加害企業や国からの安全キャンペーンが繰り返されていくことでしょう。
そして被害地域のコミュニティの分断と差別。


水俣病の問題は決して過去の話ではありません。
現在進行形なのです。
今の国と企業の姿勢なのです。



今、私たちは、過去の歴史を学び、どう生きるかを真剣に問われていると思います。

2013-05-30 06:02:06

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